お土産
2018-01-23
【ふるさと・浪江の味】かぼちゃ饅頭をご紹介
古くから浪江町で作り食べ継がれてきた郷土の味。その誕生秘話やおいしさの秘密を紹介する企画『ふるさと・浪江の味』。
第一回目にご紹介するのは『かぼちゃ饅頭』。蒸したてを頬張れば、優しいかぼちゃの香りと甘さがアッという間に口中に行き渡る。台所で作り食べ継がれてきた、町を代表する甘味のことを、『浪江町の郷土料理を愛する会』の会長を務める石井絹江さんに伺います。
ルーツは猪にあり!?浪江にかぼちゃ饅頭が生まれるまで
「元々、津島地区では家畜に食べさせるためにかぼちゃを作っていたのですが、イノシシが食べてくれなかったんです。でも、せっかく作ったのに勿体無い。そこで、これを使った饅頭を作りました。その後、町全体で始まったのが九十栗(くじゅうくり)南瓜の栽培。サラサラ感としっとり感を兼ね備えていて早生系。これを津島で作ったらイノシシが全部食べちゃったんです。(笑)」
高冷地野菜として津島地区を中心に栽培されていた九十栗南瓜。その形から黄色いハートという愛称を持つかぼちゃは、美味しさや愛くるしい姿もあって、浪江町のかぼちゃといえばこれ!という存在に。
「その後、海側でもかぼちゃを作ってもらい、品質の高いものは市場に出荷して、傷ついたものを安く譲ってもらって饅頭に加工していたんです。しっとり感とほどよい甘味もあって、これで饅頭を作ったらみんなで「おいしい!」って。そこで商品化に踏み切ったんです。
「おいしい」の普及、その背中を押した一つの出会い
家庭の味を商業化すること。そこには色々なハードルがあるものですが、一番の要となるのは安定したおいしさを作り出すこと。それを探っていた絹江さんに運命的な出会いが。
「作り方を教えてくれたのは佐藤ノブ子さん。ある日、物販会場でノブ子さんが作ったかぼちゃ饅頭を食べた時に、あまりのおいしさに驚いたんです。でも、ノブ子さんは保健所の許可を持っていなかった。そんなタイミングでお会いしたので『保健所の許可を取ろうか?』という話がトントン拍子に進んでいきました。
おやつ感覚で作れるということで、菓子を惣菜の製造許可を取ったという絹江さん。その動きは少しずつ広がっていきました。
「これがきっかけで、食品衛生の許可をみんなにも取ってもらおう!となって、保健所の担当者を呼んで講義をしていただき、町内に加工が広まりました。作り手も熱心に勉強をして、講習会も頻繁に開催されるようになったんです。やっぱり、みんな潜在的に『加工をした』という気持ちを持っていたんです」
餡まで黄色!お客さんとのコミュニケーションが生んだふるさとの味
かぼちゃ饅頭というお菓子そのものは、県内の他地域でも作られているのですが、浪江町の饅頭には大きな特長が。それは、餡にもかぼちゃを使っていることです。
「ノブ子さんから教わったレシピは、中身がつぶ餡だったのですが、ある日、福島駅で販売していた時に『なんで、中身もかぼちゃにしないの?』という声があって。それ以来100%かぼちゃ餡にしました。今でも小豆餡に食べ馴染んでいる方には色々言われるんですが、自分が一番好きなのはこれですね」
中身を変えた当初は「正直、あまり売れなかった」そうですが、現在では浪江町の名物としてもお馴染みの存在に。浪江町で作られた素材と技術、そしてみんなの「おいしい」が丸ごと詰まっているからこそ、この美味しさは別格なんでしょうね。
さて、そんな石井絹江さんのかぼちゃ饅頭を食べるチャンスがすぐそこに!2月10日(土)にまち・なみ・まるしぇにて「まるしぇの日」を開催します。このイベントではかぼちゃ饅頭をお土産として200個ご用意しました!ぜひこの機会にご賞味ください。
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