なみえびと
2020-09-15
窯元として産地を背負っていける存在になりたい 吉田直弘さん
道の駅のオープン、請戸漁港での水揚げ再開と、ニュースが目白押しの浪江町。いよいよ復興まちづくりの本番ステージが始まり、多くの分野で新たな人材が必要とされています。そこで町は「地域おこし協力隊」の制度を活用。現在20~30代の3名が、それぞれ伝統工芸、日本酒づくり、観光のフィールドでその力をぐんぐん発揮中です。彼らの仕事内容は?そもそも応募動機は?そして抱負は?ぜひお聞きください。
▼浪江町では令和2年度の地域おこし協力隊員を募集中です!
詳しくはこちらへ:https://www.town.namie.fukushima.jp/soshiki/7/25764.html
【氏 名】 吉田 直弘さん
【勤務先】 大堀相馬焼協同組合(錨屋窯・松永窯)
【着 任】 2018年4月(3年目)
【出 身】 兵庫県
【生 年】 1996年
▶いまのお仕事内容は?
浪江町の伝統工芸、大堀相馬焼の技術を伝承する職人として、窯元のもとで研鑽を積んでいます。原発事故で故郷を追われた窯元たちの一部は、福島県内各地で窯を再建していますが、その中の松永窯(西郷村)と錨屋窯(白河市)が主な修業の場です。商品製作・販売の実務はもちろん、原材料や新技法の研究、自身の作品づくりにも取り組んでいます。2019年2月の「春の新作展」では初めてオリジナル作品を販売しました。(残念ながら2020年の新作展はコロナ禍のため延期中)
2019年新作展の出品作の一部。「雲」は吉田さんが学生の頃から取り組むモチーフだそう。
▶協力隊員に応募した動機は?
京都美術工芸大学で陶芸を学びました。家業は陶芸と無関係ですが、祖母が器好きだったこともあってなんとなく興味を持ったのです。在学中、松永窯でインターンの募集があって参加してみたら、そこで出会ったプロの職人さんの技に感動しました。授業で学ぶのとは全然スピードが違う。成型でも釉掛けでも、作業にまったく無駄がないんです。それまで漠然と「陶芸に関わる仕事がしたい」と思っていたのが、「ここで働きたい」という強い気持ちに変わり、卒業後すぐに地域おこし協力隊に応募して福島県白河市に移住しました。
▶協力隊員としての2年半を振り返った感想は?
最初の頃はズタボロでした(笑)。大学で4年間学んだはずなのに全然だめ。苦しいと感じた時期もありました。職人として自立するには数をこなす必要がありますが、1日に20個くらいしか作れなかった。それが今では120~130個はできるようになり、スピードは確実にアップしました。伝統的な大堀相馬焼の特徴である二重焼などの技術をマスターする一方、自らのスタイルも深化しています。自分の技術の進歩に日々手ごたえを感じており、それが自信にもつながっています。
▶抱負をお聞かせください
僕は「将来こうなりたい自分」を明確にイメージし、そこから今やるべきことを考えて福島に来る選択をしました。協力隊任期終了後も福島に住み、職人として正確かつ丁寧な仕事をしつつ、将来は窯元を目指します。そして伝統スタイルだけでない「新たな大堀相馬焼」を追求し、販路も広げていきたい。12年の実務経験が必須の「伝統工芸士」の資格取得も目標です。大学のとき大堀相馬焼に出会い、その歴史と現状を知り、伝統を受け継ぐ自分の中に責任感が生まれました。技だけでなく産地を背負っていける存在になりたいです。
(取材日:2020年9月3日)
▼浪江町では令和2年度の地域おこし協力隊員を募集中です!
詳しくはこちらへ:https://www.town.namie.fukushima.jp/soshiki/7/25764.html
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