お土産

2021-03-29

性別、年代に関係なく楽しめる大堀相馬焼

213日に福島県を襲った地震により多くの陶器が破損。
片付けが終わり、ようやく営業再開を迎えた工房を訪れた。

明治末期に開業した栖鳳窯(山田陶器店)山田正博さんは3代目窯元として、現在西白河郡矢吹町にて工房を新設し再開を果たした。
国道4号沿いからも大きな看板と美しい木造建築が目を惹く。
同居する娘さんと息子さん、そして奥さまと家族4人で大堀相馬焼を守り続けている。

店内は、「二重焼」「走り駒」「青ひび」という3つの技法を駆使した伝統的な作品が並ぶ中、ブルーグレーのような淡い色合いや桜のようなピンク色など華やかなものも多い。日常の生活にさりげなく取り入れやすいよう使い方のコメントが添えられているなど、若い世代や女性目線も大切にしている。
「伝統を守りつつも、娘や息子の考えを尊重したいと思っている。彼らも色々と試行錯誤しながら作品作りをしてるよ。まだまだ大堀相馬焼を子供たちに伝えきれてないけど、ある程度任せるのも必要だよな。」
生活様式の変化に伴い、使用する器に対する私たちのニーズも変化している。
窯元たちは敏感に察知しながら新たな作品作りに取り組んでいるのだ。

「栖鳳窯」の由来

山田陶器店という名を持つ一方、窯元として栖鳳窯という名も持つ。
「親父の小言」をご存じだろうか。
浪江町にある大聖寺の先々代住職青田和尚が残した家訓である。
日は粗末にするな 朝きげんよくしろ
神仏をよく拝ませ 年寄りをいたわれ…
そしてその言葉を、独特の書体で書き記した鈴木氏が、栖鳳窯の名付け親である。
「栖」の文字は、鳥が巣を作って棲むという意味が、そして「鳳」の文字は、めでたい時や優れた世に現れる想像上の鳥を意味すると言われている。
多くの人々が作品に惹かれ、その魅力に導かれるように集まってくるという思いが伝わってくる。

奏で続ける親子の三重奏

東日本大震災直後白河に、知り合いがいたことで一時避難先として選んだ経緯がある。それまでは、矢吹、茨城の稲敷、筑波など転々と避難を続けてきたという。
震災2年後には仮設での工房をオープンさせ、5年後の2018年4月に現在の工房をオープンさせた。
「浪江町に行くのは年々遠く感じるな。」
道の駅なみえに「なみえの技・なりわい館」がオープンし、これまで以上に浪江町を往復する頻度が増える。
「なりわい館は、息子に任せてるよ。」
息子さんの存在は頼もしい。
「息子は今、炭化焼に力を入れてるんだ。炭を混ぜ込んでいるから、独特の質感で柔らかい手触りが特徴なんだ。」

「娘の花とか蝶々とか優しい作品、息子の作る炭化焼、そして私が先代から引き継いできた伝統的な技法。それぞれ作風は違えどもこの場所で一つになる。ある意味、親子の三重奏だね。」

震災ですべての窯元が避難を余儀なくされ、現在も帰還困難区域の指定が続く大堀地区。
しかし、仮設工房での再開を経て、今着実に新たな一歩を踏み出している。
家族4人で支え合い、尊重し合いながらこれからもその歩みは美しい音色となって続いていく。

【栖鳳窯(山田陶器店)】
住所:福島県西白河郡矢吹町新町186-24
営業時間:9001700
陶芸教室:随時受付
℡:0248-44-2256

——————————————————————————————————

2021320日(土)オープン!!
酒蔵と大堀相馬焼『なみえの技・なりわい館』
▶大堀相馬焼工房&ショップ
  10001700 ※毎週水曜定休
お問合せ:大堀相馬焼協同組合℡0240-35-4917
▶酒Bar&ショップ Sake Kura ゆい
  10001800 ※毎月最終水曜定休

道の駅なみえ